入れ歯ケアと歯科治療(Vol.1) 義歯に慣れることから始めよう!
義歯を使っている人は後期高齢者層で約9割
人間の歯は、乳歯から永久歯に一度生え替わるのを最後に、二度と生え変わらない臓器です。
それに比べて、髪の毛等は抜けても生えてきますし、皮膚も新陳代謝を繰り返し再生しています。
人間の身体は、再生を繰り返すものと、二度と再生しないものが共存しているのです。
永久歯は二度と生え変わらないということを、私たちは知っているのですが、その歯が悪い状態になるまで、放おっておいてしまうという、矛盾をはらんだ生き物でもあります。歯科医師の私から言えば、永久歯はできるだけ温存していただきたいと思っています。
よって、定期的に歯科医院に来ていただきたいですし、虫歯や歯周病も、早めに見つけて治療して差し上げたいと切に願うばかりです。
しかしながら、私たちはいつの間にか、老人になると歯を失うことが『当たり前』だと思うようになりました。老人になれば、入れ歯を入れて食事することが当たり前の姿のように勘違いしてきました。
もちろん、止む無く歯が抜けてしまう方々は大勢います。
歯の健康に心がけていたのにもかかわらず、止む無く入れ歯になってしまう方々もいらっしゃるはずです。しかし、人は加齢と共に、必ず入れ歯を入れなければならないということは無いことだけは強調したいと思います。
できるだけご自身の歯を温存し、生涯通じて20本のご自身の歯があれば、入れ歯無しでも食事が食べられるのですから。
歯科医師として、生涯通じて、ご自身の歯を20本残してほしいと心から思っています。
それでは、現在の日本では、入れ歯をつけている方がどれくらいいるのかを見てみましょう。こちらは厚労省のサイトの中にあるデータです。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-001.html
こちらのデータを見ると、ブリッジや部分入れ歯、総入れ歯などの、なんらかの義歯を使っている人の割合が後期高齢者層では89%に達するという事がわかると思います。
年齢を重ねる毎に、義歯の割合は高くなり、年齢が高くなればなるほど、ブリッジから部分入れ歯、そして総入れ歯となっていることが分かっています。
つまり、これらの事から、残念なことに多くのご老人が、なんらかの義歯をつけて生活しているという実態がみてとれます。今後は、義歯ではなく、義歯不要の口腔内を維持できるような働きかけを歯科医師としてやってまいりたいと思いますが、まずは、この現状に対する適切なアドバイスおよび歯科治療ができるよう日々診療に努めていきたいと思っています。
そこで、今回のブログ記事は、入れ歯を入れている方々に向けた、有益な情報発信をしたいと思いますので、是非お読みいただければと思います。
はじめて義歯を使う方は慣れないかもしれません。
まず最初に、はじめて義歯(入れ歯)を使う方々にポイントをお伝えしたいと思います。義歯(入れ歯)をつけるとなると、多少憂鬱になるかもしれません。しかし、最近では、性能もよく、見た目も良い義歯(入れ歯)もありますから、あまりネガティブにならず、ご不明な点はなんでもご相談いただき、ご自身の義歯(入れ歯)とおつきあいいただければと思います。
最初は、義歯(入れ歯)に慣れていただくことから始めます。
はじめは、なかなか馴染めず、義歯(入れ歯)を入れたり外したりしてしまうかもしれません。しかし、義歯(入れ歯)が合わないことを理由に、義歯(入れ歯)を付けずに食事し続けると、逆に、顎の骨が薄くなってしまい、さらに義歯(入れ歯)が合わない口腔内になってしまう危険があります。
顎の骨も使わないと痩せてしまうのです。
ですから、できるだけ義歯(入れ歯)に慣れるためにも歯科医師に作ってもらった義歯(入れ歯)は使うようにしてください。
義歯(入れ歯)に慣れるためのトレーニングとは
また、はじめて義歯(入れ歯)を使う方は、最初は義歯(入れ歯)を入れてお話をすることからトレーニングすると良いように思います。いきなり、何かを食べるのではなく、お話をする動作で義歯(入れ歯)の感覚に慣れていきましょう。
義歯(入れ歯)というのは、何も食事をするためのものだけではありません。
お話をしたり、笑ったり、表情を作る役割も担います。ですから、義歯(入れ歯)を入れた状態で、お口を使う動作も義歯(入れ歯)に慣れるトレーニングになるのです。
そして、少し慣れてきた所で、お水やお茶を飲んでみます。お茶はあまり熱すぎないものにしてください。液体よりもペースト状の柔らかい食べ物の方が良い場合もありますので、その時はペースト状のものを摂取してみましょう。
義歯(入れ歯)を入れた途端に、急に食べ物を食べ始め、それがうまくいかなかった場合、義歯(入れ歯)に対する不安や焦りなどが出てしまいます。それが苦痛になる場合もありますので、焦らずこれらのステップを踏んで慣れていくと良いと思います。
義歯(入れ歯)を入れた姿勢に気をつけて下さい。
義歯(入れ歯)を使い始めた場合、できるだけ姿勢に気をつけて食事をすると良いと言われます。うつむき加減だったり、下を向いたりして食事するのではなく
、できるだけ真っ直ぐ前を向いて姿勢良く食べると良いでしょう。
よく咀嚼しながら食べてみることをおすすめします。
義歯(入れ歯)であることによって、食事の時間が憂鬱になるのはいけません。義歯(入れ歯)もご自身の身体の一部ですので、ゆっくり慣れていきましょう。
しかし、それでも痛みがあったり違和感があったりする場合は、あまり我慢せずに、歯科医師に相談するようにしましょう。
一言で義歯(入れ歯)といっても、様々な義歯(入れ歯)があります。ご自身にあった義歯(入れ歯)を歯科医師と一緒に相談しながら変えていくのも良いかもしれません。(ご注意:義歯には保険で作れるものと、自由診療のものがあります。必ず、治療費の確認をするようにしましょう)
必ず、歯科医師に相談しましょう
ここまで、初めて義歯(入れ歯)をつける方々への注意ポイントをまとめてまいりました。
どうしても、義歯(入れ歯)に対する抵抗感があるのは仕方ありませんが、合わない義歯を使い続けたり、義歯(入れ歯)が必要なのに使わなかったりすることで、さらにお口の環境が悪くなってしまうリスクがあります。
ですから、必ず歯科医師に相談して、できるだけ早くご自身の義歯(入れ歯)に慣れ、快適な生活が送れるようにしていただけたら嬉しく思っています。
ご不明な点は、新板橋駅前のいしかわ歯科にお気軽にご相談ください。
投稿日:2018年3月22日 カテゴリー:歯のコラム