歯周病はお口だけじゃない!?全身の疾患とのかかわり
歯周病になることで、症状が悪化する病気やかかりやすくなる病気をご紹介します。
糖尿病
糖尿病とは、インスリン(血液中の糖分を取り込み、血糖値を下げるはたらき)のはたらきが十分でないことが原因で血液中を流れる糖分が多くなってしまう病気です。高血糖の状態が続くと血管に傷を付けるため、体中に合併症があらわれます。
目の網膜にある血管が傷付くと網膜症、腎臓の血管だと腎症になります。さらに、手足の神経にも異常をきたす神経障害とあわせ三大合併症といわれています。ほかにも、動脈硬化を進行させ、心臓病・脳梗塞などの原因になります。
糖尿病と歯周病は相互に悪影響を及ぼすことがわかっています。
歯周病で腫れた歯茎は歯磨きなどの少しの刺激で簡単に出血し、出血した場所から歯周病菌が血管内に侵入します。すると、体の免疫力で歯周病菌は死滅しますが、菌が持っている内毒素はそのまま残ってしまいます。この内毒素がインスリンの生産を抑えたり、インスリンを効きにくくしたりすることで血糖値が上昇し糖尿病を悪化させます。
動脈硬化
動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりすることで本来の構造が壊れ、はたらきが悪くなる病変のことです。動脈硬化によって血管が狭くなったり、血栓ができたり、血栓がはがれて別の血管内で詰まったりすることが原因となり、心筋梗塞や脳梗塞、大動脈瘤、狭心症、手足の壊死などが起こります。
歯周病で腫れて出血した歯茎から歯周病菌が血管内に侵入し、歯周病菌が持つ内毒素や炎症性物質によって血管に炎症が起こると考えられています。血管に炎症が起こると、血管そのものが硬化したり、血栓ができやすくなったりして、動脈硬化が進行します。
心筋梗塞など
心筋梗塞は、心臓を取り巻いている冠動脈に血栓ができたり、別の場所から流れてきた血栓が詰まったりすることで心臓に血液を送れなくなり、心臓が酸素不足になって壊死する病気です。
歯周病は内毒素や炎症性物質によって動脈硬化を進行させるため、心臓を取り巻いている冠動脈で動脈硬化が進行し血管が詰まると心筋梗塞を発症します。また、他の場所で進行した動脈硬化から流れてきた血栓が冠動脈で詰まっても心筋梗塞になります。
これと同様に、脳の血管が詰まると脳梗塞となります。血管は体中に張り巡らされているため、体中のどの場所にも血栓ができたり血管が詰まったりする恐れがあるのです。
投稿日:2019年9月17日 カテゴリー:歯のコラム