「歯周病」と「歯肉炎」って違うもの?
歯肉炎は歯周病に含まれる症状の一種です
歯周病は歯と歯茎の間にたまった歯垢が原因となり、炎症を引き起こす病気です。成人の約8割がかかっていると言われています。患者さんの多さから病気を安易にとらえがちですが、症状が進行すると歯が抜け落ちてしまう怖い病気です。重症化するまで自覚症状がないことから“サイレントキラー”とも呼ばれています。
「歯周病」と「歯肉炎」は似たような言葉としてとらえている人も多いですが、「歯周病」と「歯肉炎」は違います。正しくは、歯周病という病気の1つの進行状態に歯周炎があります。
歯周病の進行状態には4段階あります。その1段階目が「歯肉炎」です。
歯肉炎は、歯の周りの歯茎だけが腫れている状態で、歯茎から軽い出血があります。歯周ポケットの深さは2~3mmです。歯周ポケットとは歯と歯茎の間にある溝のことで、健康な歯茎の人は1~2mm程度の深さです。歯周炎は比較的軽度の炎症なので、炎症の原因となる歯周ポケットにたまった歯垢や歯石を取り除くことで症状は治まります。
歯周病には歯肉炎のほかに歯周炎と呼ばれる段階もあります
歯周病の進行状態の2~4段階目が「歯周炎」です。歯肉炎が悪化すると歯周炎に進行します。
2段階目は「軽度歯周炎」で、歯茎の腫れがひどくなり、歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)が破壊され始めている状態です。歯周ポケットの深さは3~5mmです。
3段階目は「中度歯周病」で、歯槽骨が歯の根っこの長さの半分近くまで破壊され、歯のぐらつきが始まる状態です。歯周ポケットの深さは4~7mmです。
4段階目は「重度歯周炎」で、歯槽骨の半分以上が破壊され、歯がグラグラと動き、最後には抜け落ちてしまいます。歯周ポケットの深さは7mm以上です。
歯周病から大切な歯を守るために
歯周病から歯を守るために大切なことは“プラーク(歯垢)コントロール”です。
歯周病の原因は、歯周ポケットにたまった歯垢です。歯垢は細菌のかたまりで、食後4~8時間程でつくられます。つまり、食事やおやつを食べる度に歯垢がつくられるリスクがあるということです。
その歯垢を毎日の歯磨きでしっかりと落とすことがプラークコントロールの基本です。歯と歯の間や、歯と歯茎の間は歯ブラシで磨くことができないため、デンタルフロスを使いましょう。
また、歯垢が固まって歯石となってしまうとご自分の歯磨きでは落とすことができません。定期的に歯科医院で歯のクリーニングを行い、歯石と磨き残した歯垢を徹底的に落としましょう。
投稿日:2019年8月15日 カテゴリー:歯のコラム